<デリーからの帰国に際して、ボンベイの友人が彼の部下だった方に見送りを頼んでくれた。そして、デリーでその方の家に着いた時、彼の奥さんが、ドアの向こうでニッコリ笑って立っていた。見知らぬ私をソファーに座らせ暫くしてゆったりとした落ち着きでチャイを手にして台所から現れた彼女は、私の隣に腰を下ろした。何を聞くというのでもなく黙っている。所在無い私は、その時、彼女の呼吸に自分の意識を合わせてみた……。なんて、深いゆったりした呼吸をしているのだろう……この方は。一瞬驚き、2、3分後、全身の細胞の緊張と心の構えがとれた。包まれた私は、はっきりと感覚した。これが包容力。私の欲しかったものだった。<ニューズレター1995.2.28より>
ヨーガ教室シャンティパット主宰 紙やまさみ