ヨーガの教えの大切なことのひとつに、「今」を生きるということがあります。
一秒前でもなく、一秒後でもない「今」です。
「今」この瞬間に、すべての意識を覚醒し、集中して生ききりなさいと。
それができて初めて、命が輝くという考えですね。
体はここにあっても心は色んな所に飛び回っていて、人と会話をしている時でさえ、今この話を聞いている時でさえ、過去に同じようなことを耳にした時と比べながら聞いていて、結局過去を引っ張り出している時は「今」に100%意識がないわけで、過去に戻っている。
その過去と聞き逃した今のフレーズのどこかが合った瞬間、また思い出したように今に戻る。
また過去の何か別の所に心が飛んでいって、結び付けて戻ってきた時に、聞き逃したその先へ結び付けてまた理解をしようとしている。
それが人間の普通の動きですが、それをあえて「今」ここに集中しなさいと、ヨーガの経典も聖者たちも皆仰っています。
その素晴らしさは、意識の覚醒にあります。
同時に、執着がない心に尽きます。
過去に引っ張られるのは、いくつもの執着や消せない思いが心のなかにいっぱいあって、それが今の自分に大きな影響を与えているからです。
同時に、先の不安。この先どうしよう、明日どうしよう、一年後どうしよう、十年後どうしようという、その不安に苛まれることもまた、愚か者のすることだとヨーガの経典にはあります。
未来を嘆く、不安に思うのであれば、「今」この時にやるべきことに100%集中する。
そうすれば、自ずと未来は構築されていくのです。
経典として読むと日常とかけ離れているように思いますが、実際に毎日の中で、「今」この瞬間に本当に100%意識を集中しているかどうかを点検していくと、いかに心が暴れん坊で、留守ばっかりしているかがよく見えてくると思います。
そのために、もう一人の自分が絶えずピタッと自分についていて、レンズのスイッチが切れることなく観察していることが重要です。
これを訓練していくことで、本当に毎日の達成感が違ってきます。
そして、感性の輝きと感動の連鎖が生まれてきます。
なぜなら「今」というものに意識が集中している時は、ありとあらゆるものが100%の存在感をもって自分に語りかけていることを、受け取ることができるからです。
人の心と体と思っていることとエネルギーと、全部がわかる。
誰でもです。感じるものですから。
アーサナをする時にも、「今」の体がどうなのか観察していけば、たとえば一年同じポーズをしたとしても、違う発見がたくさんあり、それによって深い気づきもまたたくさん得られていくと思います。
ヨーガ教室主宰 紙や まさみ
2018年3月24日(土)のレッスンで